法学部の勉強はつらい!?法学部の誤解を解く③

勉強

こんにちは。弁護士のタトです。

法学部の誤解を解く最終回です。

この記事は「法学部の勉強はつらい!?法学部の誤解を解く②」の続きです。まだご覧いただいていない方は、是非↓↓

法学部の勉強はつらい!?法学部の誤解を解く②」

法学部へのイメージとして「講義の中で堅苦しい用語が飛び交い苦痛」であるという声をよく聞きます。

「堅苦しい用語」が何を指すかにもよりますが、法律用語が難しいと考えられてることからすると、一見・一読しただけでは意味が分からない難解な用語といいかえられるでしょう。

果たして実際のところ、これは本当なのでしょうか?

確かに難解な用語は登場する。しかも頻繁に・・・

結論から申し上げると、難解な用語は、法律を学習する中でしばしば登場します。

例えば、「意思表示」という言葉。

この言葉を聞いて、皆さんはどんな意味を連想しますか?

なんとなく相手に自分の意思を伝えることという意味があることはお分かりかと思います。

しかし、法律の学習においては、これでは若干不十分なのです。

法律的には「意思表示」は、一定の法律効果の発生を欲する意思を外部に表示する行為と説明されます。

「ん?なんだか感じが多くてよくわからん・・・」と思いますよね。

そう、このままですと「意思表示」の意味を知ったことにはなっても、意味を理解したことにはなりません。

難解な用語の意味は曖昧に取られたままでいいの?

そもそも論として、このような難解な用語は、意味を正確に理解する必要があるのでしょうか?

何となく意味を捉えたままではだめなのでしょうか?

法律を学ぶ中では、しばしば「定義」は何かということが問われます。

「定義」とはかしこまった言い方ですが、つまりは「用語は誰が使っても同じ意味でなければならないから、誰が使っても同じ意味となるように、なんと説明するか?」ということです。

法律は、万人に対して適用される社会のルールです。ルールは、誰に対しても同じように適用されなければなりません。

そうすると、法律に書いてある用語は、万人共通の意味として理解される必要があり、人ごとに意味が異なりますと、ルールとして機能しません。

したがって、法律に書いてある用語は、誰が見ても同じ意味となる必要があるのです。

失礼しました。少しかたい話になってしまいましたね。

つまりは、法律を学ぶ上で用語の意味を曖昧なままにしてはいけないということです。

ではどうやって理解するばいいの?

「用語の意味を曖昧なままにしてはいけないことは何となく分かった。じゃあ、どうやって理解すればいいの?」と疑問がでてきます。

そのコツをお伝えしていきます。

  1. 一つ一つの言葉を分解して意味を調べる。
  2. 意味を調べたら、例えを使って言葉の意味をかみしめる。
  3. 最後に、一つの一つの言葉の意味をつなげて用語全体の意味をかみしめる。

それぞれ「意思表示」を例に説明していきます。

1.一つ一つの言葉を分解して意味を調べる。

「意思表示」は「一定の法律効果の発生を欲する意思を外部に表示する行為」と説明されます。

まずはこの言葉自体を分解していくのです。

①「一定の」②「法律効果の発生を」③「欲する意思を」④「外部に表示する行為」といった具合に分けてみます。

このうち、①「一定の」は「ある特定の」、③「欲する意思を」は「こうしたいという思い」、④「外部に表示する行為」は「世間にアピールする」と言い換えられるでしょう。

しかし、②「法律効果の発生を」についてはどうでしょうか?

特に「法律効果」は一読しただけでは意味が分かりづらいのではないでしょうか?

そうした用語にあたった時は、さらにその用語の意味を調べるのです。

「法律効果」を調べると「法律要件を満たした場合に生じる権利や義務」と説明されます。

そうすると「「法律要件」の意味は分からないけど、法律効果は発生する権利や義務を指すんだな」と分かります。

さらに「法律要件」という分からない用語が出てきたので、「法律要件」の意味を調べてみると、「一定の法律効果を生じさせるために必要とされる事実」との意味であることが分かります。

これをふまえて先ほどの「法律効果」を説明してみると、

「一定の権利や義務が発生するために必要とされる事実を満たした場合に生じる権利や義務」

と説明できます(かなり回りくどい言い方ですが・・・)。

以上より②「法律効果の発生を」は「一定の権利や義務が発生するために必要とされる事実を満たした場合に生じる権利や義務が生じることを」と言い換えることができるでしょう。

ここまでが第一段階です。

2.意味を調べたら、例えを使って言葉の意味をかみしめる。

「一定の法律効果の発生を欲する意思を外部に表示する行為」という「意思表示」を以下のように分解してきました。

①「一定の」は「ある特定の」

②「法律効果の発生を」は「一定の権利や義務が発生するために必要とされる事実を満たした場合に生じる権利や義務が生じることを」

③「欲する意思を」は「こうしたいという思い」

④「外部に表示する行為」は「世間にアピールする」

ここで、②「法律効果の発生を」の意味は理解できるようにはなったが、イメージが持てないとしましょう。

その場合には理解をさらに深めるため、具体例を使っていきます。

ただ、ここは用語のイメージを持つ目的ですので、難しく考える必要はなく、自分の理解が深まれば具体例は何でもいいです。

例えば「一定の権利や義務が発生するために必要とされる事実を満たした場合に生じる権利や義務が生じること」を「ラーメンを注文したという事実があった場合に、ラーメンを食べることができる権利が生じること」という具合です。

厳密には、お客さんのラーメンを提示された額で買うという意思とお店側のラーメンを提示した額で売るという意思が合致することが必要ですが、これは勉強を進める中で分かってきますので、ここではイメージを持つことを優先します。

このようにラーメンを食べる場面を使ってみると、より用語の意味が分かるようになります。

3.最後に、一つの一つの言葉の意味をつなげて用語全体の意味をかみしめる。

最後に、2までの段階で出そろった用語を全部並べてみます(②「法律効果の発生を」は具体例を使っています。)。

①「一定の」は「ある特定の」

②「法律効果の発生を」は「ラーメンを注文したという事実があった場合に、ラーメンを食べることができる権利が生じることの発生を」

③「欲する意思を」は「こうしたいという思い」

④「外部に表示する行為」は「世間にアピールする」

そうすると、「ラーメンを注文したという事実があった場合に、ラーメンを食べることができる権利が生じることの発生をさせたいという思いを世間(ここではラーメン屋)にアピールする」となります(①「一定の」は、②「法律効果の発生を」の説明文に含めてます。)。

こうすることで、「意思表示」は、「事実があることで権利があることを相手に伝える行為」と理解することができます。

最後に

法律の用語は難解でありながら、その意味を正確に捉える必要があります。

ここを曖昧なままにしてしまうと、難解な用語のまま話が進むことにより理解が進まなくなり、法律の勉強は堅苦しい用語ばかりで苦痛ということになってしまいます。

逆に言うと、難解な用語が出てくるたびに、その意味をかみしめて理解しようとすれば、必ず理解が進みます。

もちろん、見慣れない用語の意味を理解する作業は、最初は苦痛が伴います。

しかし、何度もイメージをもって用語の意味を理解しようすることで、次第にスムーズに理解できるようになります。

この記事は、法学部に入ろうか迷っている方は、是非飛び込んでほしいです。

法律の勉強が苦しい、法学部の勉強についていけないという方は、是非一度立ち止まって、用語の意味を理解することに徹底してみてはいかがでしょうか。

ここまでご覧いただきありがとうございます。ではまた。

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